はじめに
花粉症は、特定の植物の花粉に対するアレルギー反応によって引き起こされる疾患であり、日本においては非常に多くの人々が悩まされています。特に春先にはスギやヒノキの花粉が大量に飛散し、花粉症の主な原因となります。
近年、花粉症は「国民病」とも呼ばれるほど一般的になり、ある調査では日本人の2人に1人が花粉症の可能性があると報告されています。今回、花粉症の代表的な症状に加え、あまり一般には知られていない稀な症状についても解説します。あまり知られていない症状を知ることで、自身の症状が花粉症によるものかもしれないという認識が高まり、適切な診断と治療へと繋がる可能性があります。
花粉症のよくある症状
花粉症の症状は、主に鼻と目に現れることが多いとされています。鼻の症状としては、くしゃみや鼻水が出るのが特徴です。特に起床時や外出時に症状が悪化しやすい傾向があります。鼻水は、風邪の時のように粘り気のある黄色い鼻水ではなく、水のように透明でサラサラしているのが特徴です。また、鼻が詰まり、呼吸がしづらくなる鼻づまりもよく見られる症状の一つです。その他、鼻の中がかゆくなることもありますし、鼻水が喉の奥に流れ落ちる後鼻漏の症状を訴える人もおり、これが喉の刺激となり咳の原因となることもあります。
目の症状としては、目のかゆみや充血が一般的です。涙目になることも多く、目に異物感を感じる人もいます。まれに白い目やにが出たり、まぶたが腫れたりすることもあります。これらの症状は、アレルギー反応によるものであり、風邪の症状としてはあまり見られないため、花粉症を疑う重要なポイントとなります。
花粉症の稀にある症状
花粉症では、鼻や目の症状以外にも、あまり一般的ではないものの様々な症状が現れることがあります。
- 喉や口の症状として、喉のかゆみを感じることがあります。喉の痛みを感じる人もいますが、これは後鼻漏による刺激や咳によるものと考えられ、風邪のような強い喉の痛みとは異なる場合があります。口の中がかゆくなることもあります。また、特定の果物や生野菜を食べた後に、唇、舌、口の中、喉にかゆみやしびれ、むくみなどが現れる口腔アレルギー症候群(OAS)も、花粉症患者の一部に見られる症状です。稀ではありますが、OASが原因でアナフィラキシー反応を引き起こす可能性も報告されています。
- 呼吸器系の症状としては、痰の出ない乾いた咳が続くことがあります。これは、後鼻漏や、花粉症に合併しやすい気管支喘息が原因となることもあります。重症の場合や喘息を合併している場合には、呼吸困難や、呼吸をする際にゼーゼー、ヒューヒューという音がする喘鳴が見られることもあります。
- 皮膚の症状としては、皮膚にかゆみを感じることがあります。また、蕁麻疹のような赤い発疹が現れることもあります。花粉が直接皮膚に触れることで皮膚炎を起こしたり、元々アトピー性皮膚炎を持っている人の症状が悪化したりすることもあります。
- 全身の症状としては、頭痛や倦怠感、疲労感を覚える人も多いですが、これは鼻づまりによる睡眠不足が原因の場合もあります。集中力の低下やイライラ感を感じることもあります。熱っぽさを感じ、発熱することもありますが、一般的に花粉症で高熱が出ることはありません。38度以上の発熱がある場合は、その他感染症や、花粉症による副鼻腔炎なども考えられます。
- その他症状として、嗅覚や味覚が低下することや、顔や体がほてるといった症状も報告されています。めまいや耳のかゆみ、耳の痛み、鼻声、いびき、副鼻腔の炎症による顔面痛、そして稀に下痢や腹痛などの消化器症状が現れることもあります。
医療機関への受診の重要性
花粉症の症状は多岐にわたるため、自己判断で済ませずに、医療機関を受診して医師による正確な診断を受けることが非常に重要です。鼻や目の診察に加え、必要に応じてアレルギー検査(皮膚テストや血液検査など)を行い、原因となっているアレルゲンを特定することができます。アレルゲンを特定することで、花粉の飛散時期を予測し、事前に適切な対策を講じることが可能になります。
また、医療機関では、個々の症状や重症度に応じた適切な治療法を選択してもらうことができます。治療法としては、内服薬、点鼻薬、点眼薬などが一般的ですが、重症な場合にはステロイド注射などの専門的な治療が必要となることもあります。近年では、アレルギーの原因物質を少量ずつ投与することで体を慣らしていく舌下免疫療法といった根本的な治療法も選択肢としてあります。
さらに、花粉症は、喘息や副鼻腔炎、中耳炎といった他の病気を悪化させる可能性や、合併症を引き起こす可能性があります。医師の診断を受けることで、これらの合併症を早期に発見し、適切な管理を行うことができます。また、前述の口腔アレルギー症候群のように、重篤な症状を引き起こす可能性のある症状についても、医師の指導を受けることが重要です。
そして、花粉症の症状は、風邪や他のアレルギー性疾患と似ている場合があるため、自己判断では区別が難しいことがあります。特に、目の症状の有無、鼻水の性状、発熱の有無などは、花粉症と風邪を見分ける上で重要なポイントとなります。
花粉症と風邪の区別
花粉症と風邪は、初期症状が似ているため混同されやすいですが、いくつかの点で違いがあります。以下の表に、主な症状の違いをまとめました。
症状 | 花粉症 | 風邪 |
鼻水 | 透明でサラサラしている | 初期は水っぽいこともあるが、次第に粘り気のある黄色や緑色に変化することが多い |
くしゃみ | 連続して何度も出る | 回数が少ないことが多い |
目の症状 | かゆみ、充血、涙目などが多い | まれ |
発熱 | 通常ないか、あっても微熱程度 | 発熱することが多い |
喉の痛み | 少ないか、後鼻漏による軽い痛み程度 | よく見られる |
症状の持続期間 | 花粉飛散期間中続く | 通常1週間程度で治まる |
体の痛み | 少ない | 出やすい |
鼻水の状態は、花粉症では水のようにサラサラしているのに対し、風邪では粘り気があり、色も黄色や緑色に変わることが多いです。目の症状は、花粉症では非常によく見られますが、風邪ではほとんど見られません。発熱は、花粉症では通常ありませんが、風邪ではよく見られる症状です。喉の痛みは、風邪で一般的ですが、花粉症では少ないか、後鼻漏による軽い痛み程度です。症状の持続期間も異なり、花粉症は花粉が飛散している間続きますが、風邪は通常1週間程度で治まります。体の痛みや倦怠感は、風邪の方が強く出やすい傾向があります。
合併症と生活への影響
花粉症は、日常生活に様々な影響を与える可能性があります。集中力の低下により、仕事や学業に支障が出ることがあります。また、鼻づまりやその他の症状による睡眠不足は、日中の眠気や疲労感を引き起こし、全体的な生活の質を低下させる可能性があります。症状が重い場合には、外出を控えたり、趣味やスポーツなどの活動を制限せざるを得なくなることもあります。
さらに、花粉症を放置したり、適切な治療を受けなかったりすると、様々な合併症を引き起こす可能性があります。鼻の炎症が慢性化すると副鼻腔炎を併発することがあります。特にお子様の場合には、中耳炎を引き起こすこともあります。また、花粉症は喘息の症状を悪化させる要因となることも知られています。稀ではありますが、重度のアレルギー反応としてアナフィラキシーを引き起こす可能性も否定できません。これらの合併症を防ぐためにも、早期に適切な診断と治療を受けることが重要です。
花粉症の検査について
当院では、指先から血液を採血することで、40種類のアレルゲンとアレルギー体質の目安を検査することができます。お気軽にご相談ください
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